外人

公演アンケートで「外人というのは差別用語ではありませんか?」というのをいくつか頂きました。
差別用語です。けれど最近はテレビのアナウンサーでさえごく自然に「外人」という言葉を使用していたりします。ある意味日常の生活用語となっているのだと思います。ですから芝居中の台詞に入れました。例えば日常生活の中でそれほど違和感を感じずに流せてしまうコトでも、「舞台」というフレームの外側から観た時には「アレ?」という違和感に気づいたりするんじゃないかと思うので…。お気づきでしょうか?「外人」という言葉を使っているのは劇中日本人だけで、イラン人のアリだけが「外国人」という言い方をしています。

差別に限らず、芝居の中に「え?」と、一瞬違和感を感じるような台詞を敢えて、常に、入れています。旗挙げ公演の「父の骨」では

(駅のトイレ掃除を生業としている弟に兄が)
知也、戻る。
知也 「トイレ完璧」
礼史 「サンキュ、さすが」
知也 「……」
礼史 「何?」
知也 「(なんかやりながら)……さすがとかって言わないでよ」
礼史 「何で」
知也 「それ『さすがプロ』ってことだろ」
礼史 「そう
知也 「やなんだよ、そういう言い方」
─間─
礼史 「分かったよ。けどお前…なんとかしろよ、それ」
知也 「(なんかやりながら)……ごめん」 とかの台詞がそうです。「蟷螂」でも

(朝、突然死刑執行を命ぜられた新人刑務官にベテラン刑務官が)
横田 「食わねぇのか?だったら始めるぞ。時間ないんだよ、執行、十時半だったろ」
中嶋 「……」
横田 「あ、食わないんだったら大納言つぶアンパン返して。俺、後で食うからさ」 とかです。

「え?」とか「あれ?」とか感じて頂けたら、と。例えば今回「外人」という台詞を言わせた後に「それ、差別用語だろ?」とかいう台詞を入れたら完璧じゃないか、と思われる方もいらっしゃると思いますが、啓蒙芝居ではないので、あくまでも日常会話の中の違和感を感じとってもらえたらと思っています。
公演が終了し、久々に昨日メンバーと下北沢のスズナリで岩松了の「アイスクリームマン」を観る。酷評されてるんで、メンバーには「なんかヤバイらしいよ、がんばろうね」と言い、かなり覚悟して観劇。
面白かった。確かにドタバタした演出は好きじゃないし、いらないと思ったけど…私はやっぱり岩松さんの本が好きなんだ、と再確認。しかもアイスクリームマンは戯曲で読んだ時より全然面白かった。こういうのがやりたいんだ、ということも再確認。もしかしてこれって、間口が狭いのかな……。それはそれでソルト的にはどうなんだろ、とか思うけど。

観劇後、一緒に行った知也と光生が2人とも面白かったと言ってたんで、なんか嬉しかった。一緒にモノを創ってる仲間と好みが同じ、ということは私にとっては重要なことだ。

一番前評判が悪いアイスクリームマンがこんなに楽しめたから、あと2本(センター街、隣の男)楽しみ。岩松さんの3本連続公演、実は全てチケット取ってしまったのだ。

好きだなぁ、私も。

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