オヤシラズの手術を、昨日の午後仕事を休んでやっと決行した。ホントはやりたくなかったけど、もうキムチでいう「たっぷり味」状態になっていたので嫌々仕方なく暗~い気持ちで大学病院へ。「ああ、なんて可哀想なんだろう、私。可哀想に。可哀想に……」などと、自分哀れみごっこを待合い席で満喫。もう少しグズグズやっていたかったのに、あっという間に名前を呼ばれてしまう。
「こんにちは!」と、ニコニコ挨拶してくれたのは、どうみても20代前半という感じの深キョン似美人女医。こ、こんな若い先生が担当!?と、一気に不安モードへ突入する。レントゲン撮ったり、いろいろ質問された後、「じゃ、準備していきますよ~♪」と、深キョンが明るく開始宣言。台に置かれたステンレスのお盆に手術グッズが並べられている。木製の「打出の小槌風」ハンマーをうっかり見てしまい、悪い意味で目が釘付けに……。「コレ、何に使うんですか?」と、怯えをなるべく悟られないように大人な感じで質問すると、「ああ、それで叩いて割ってから抜きますから。顎の骨も少し削りますよ」とか。続けて、「叩く時、手伝って欲しいんです。私が合図したらゲンコツを作って顎の下にあてて下さいね。そうすると、ひびきが軽減されますから」と。こういう時、即その映像が脳に浮かんでしまう私。「やっぱ、今日やめます」と、言いたい気持ちを必死で抑える。
麻酔を2本打って開始。メスで歯茎をガーッと切開。血のにおいが漂う。そして、小槌……。「ゲンコツあてて下さぁい♪」と、キョンから合図が。もう、恐ろしくて目を開けちゃいられないのでギチッと閉じて、ゲンコツあて完了。「じゃ、いきますよ~」との声に続いてガンガンッ、ガンガンッ、と小槌のリズムが…。その音聞いてるだけで朦朧としてくる。上部の歯は抜けたけど、根本の部分がなかなか抜けない。で、ドリル様のグッズが登場、キーキーやられてると、髪の毛を焦がしたような匂いが。なんか、根本が曲がっていたとかで、結局手術には1時間もかかってしまった。あんまり長くかかったので途中で麻酔が切れ気味に。「センセ、なんか痛い!」と訴える。口が開きっぱだからホントは「へんへー、らんかいだい!」としか言えてないのに、キョンは即理解。(さすが!)追加の麻酔を打ってくれた。ふと見れば、キョンの手は血だらけ。こんなスプラッタな状況で、淡々と作業をこなすキョン。こんな若くてカワイイのに。爪だって短くカットされていて、素敵。すっかりファンになってしまった。
術後はグッタリ。放心状態。「帰り道、麻酔が切れて大人なのに痛くて泣いた」との男友達の話しを思い出して、痛み止めをもらいその場で飲む。夜の予定を入れていたけど、それどこじゃないんでキャンセルしてしまった。
キョンが、「腫れは短い人で3日、長くひかない人だと1週間は腫れます。抜歯したところは穴になっているんですが、それが完全に埋まるまで6ヶ月はかかります♪」と、今後の展開を伝えてくれた。もうその頃はすでにヘロヘロ。こんな大変だなんて知らなかった……。もう2度とやりたくない!けれど、レントゲン写真にはしっかりともう1本オヤシラズが写っていたのを私は見逃さなかったのだ。嫌だなぁ。こんな責め苦を将来またうけなきゃならないなんて!そん時、キョンここにいるかなぁ。またキョンが抜いてくれるなら我慢するけど。
大学病院の帰り、痛くなった時の保険として、行きつけのレンタルビデオ屋にたった5本しかないモンティ・パイソンのビデオの中で、一番お気に入りな1本を借りてきた。ホラ、痛みには「笑い」だって言うじゃないですか。痛くなったらコレ観て紛らわそ。
顔、パンパンです、今。口の中はずーっと血の味風味だし。6時間おきに薬が切れちゃって、激痛。4時に飲んで、10時に飲んだからあと1時間でまた飲まなきゃ……。
あああ。どーしよ。今日、芝居観に行くっつーのに。最悪。万が一知り合いに会っても気づかれない可能性大。
……笑えます。