タンクトップ

■お悩み

椎名さん、今晩は。自分の劇団の公演がやっと終わったんで久々に悩みを聞いて下さい。

5月公演の稽古中、私の所属する劇団の一番若い役者から(今の所、役者は男しかおりません)ヒドイ暴言を吐かれたのです。それは『椎名さん、もうタンクトップは着ないで下さい』というモノでした。私は、胸や腕の部分が閉まっている(バカバカ開いていないって意味です)タンクトップは大好きで、夏によく愛用してるのですが、その稽古の時はもう、なんだかしっちゃかめっちゃかに忙しく、洗濯物が2週間分くらいたまっていて、正直、着るモノがなかったのですね。靴下などはないので買って履いていたような状況でした。

なので、季節はずれのタンクトップにとりあえずGジャンを引っかけて行ったワケです。で、Gジャンをずっと着てるには暑い日だったんで、稽古の課程でGジャンを脱いだワケなんです。ちょっと寒かったけど、Gジャン着たままムシ暑君よりはGジャン脱いでちょい寒君の方を私はその日、チョイスしたワケです。

その時は何の反応も起こさなかったクセに先日、公演後のお客様も交えた飲み会の席でその、一番若い役者がいきなり冒頭の暴言を吐いたワケなんです。彼が私にタンクトップを禁止する理由はただ一つ『イタイから』だそうです。彼は私に『そんなに暑くもなかったのに、痛さを自分で認識出来ずに見せつけてたに違いないと思います』とかも言いやがりました。

私は確かに歳がイッてはいますけど、そんなに私のタンクトップ姿は罪悪なんでしょうか。周りの方達に多大な迷惑をかけているのでしょうか。ある意味、犯罪なんでしょうか。椎名さん、思い切って本当のコトを言っちゃって下さい。椎名さんから見ても私のタンクトップ姿は『イタイ』んでしょうか?

実は、タンクトップは多数持っていて、椎名さんのお答えによってはそれらを抹殺しなければ、と、考えております。

公演後の多忙な時期にくだらない質問を申し訳ありません。よろしくお願い致します。

神奈川県 某爆睡系劇団座付き作家 女性

■お答え

思い切って言います。それは、犯罪です。アナタはその一番若い(割には薄毛な)役者の方の言う通り、自分の今現在の『痛さ』について、全くの無頓着さんなのです。

想像してみて下さい。アナタにとって見たくないモノ、例えば、カ~ッペッ!っと、道端に痰を平気で吐くオジサマや、人前で平気でチ~ンッ!っと、鼻をかむオバサマ。彼の言う『見たくなさ』というのは置き換えればつまり、そういうコトです。人というのは、特に若さというのは、時に、醜さを受け付けません。若い子のビキニからはみ出た美尻は見たくても、オバハンのはみ出たケツなど誰が見たがるでしょうか。彼は、同じ仲間であるアナタだからこそ、敢えて『もう着ないで下さい』と、進言しているのです。洗濯物がいくらたまりにたまっていたとしても、稽古場にオバハンがタンクトップを着て行くなど、醜悪な行為だったと言わざるを得ません。充分に反省して下さい。そういう不満が身内から漏れたというコトは見逃せない事実です。そのコトを彼が、その場ですぐには言わず、お客様が集まった飲み会の席で初めて言ったコトにも『意味』を感じなければいけませんよ。

とにかく、もう、タンクトップは禁止です。ええ。禁止と言ったら禁止なのです。諦めるのです。ええ。もう一生諦めて下さい。私はアナタを犯罪者にしたくない故、敢えて辛いコトを言ってます。家の中だけでコッソリ楽しんで下さい。

しかし。見方を変えたら、その若ハゲな彼は、アナタのタンクトップ姿に心ならずも『ときめいて』しまった自分が許せなかったのかもしれません。そういう、ゲテモノ趣味な人間もこの世の中には多数いて、その自覚がないタメに『思わず訪れたトキメキ』に対処出来ずに戸惑うモノなのです。違うんだ、コリは違うんだ、と、大いに悩み苦しむモノなのです。若さという彼のプライドもありましょう。

あ、あくまでコレは、100%のうちの1%程度、アナタを慰めようとして私が捻り出したモノなので、私の救いのナイお答えに自殺したくなった時のみ、この部分をプリントアウトして、拡大コピーし、部屋の壁にでも貼っておいて下さい。読んでいるうちになんとなく死ぬ気もなくなり、バカらしくなってくるのではないでしょうか。

ちなみに、私は今、大変忙しいのです。

次回からはこんなくだらない相談にはのれませんので、そこら辺をくれぐれもよろしくお願い致します。

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