と、タイトルに書いたんだけれど、某お客様から「ニッカボッカ」の誤りではないの?とのご指摘が!慌てて辞書をひいてみたらやはり「ニッカボッカ」で、さらに正式には「ニッカボッカーズ」なのだということが判明。チラシに堂々と間違った言葉を書いてしまった……。猛反省です。で、ニッカボッカーズって何?という方もいらっしゃると思うので辞書を引用すると、「ひざの下をバンドやボタンで絞ったズボン。乗馬、ゴルフ用に広まった」とのことです。分かりやすくイメージするには土木作業員の方達や、鳶職の方達が履いている作業ズボンを思い浮かべて頂ければ。
5月公演「garden」は水道関係の土木作業員達のお話なので、当然衣装はニッカなワケで。専門店に衣装の下見に行った際、店員のおじさんに「このズボン、何て呼んでます?」と質問すると「俺なんかはニッカっつってるね」とのこと。「でも、短縮せずに長く言う時は何て言ってます?」と、さらに食い下がると「う~ん、大抵ニッカっつってるけど……ニッカポッカだね」と。「ポッカですか?ポ、ですか?」とさらに聞くと「ポッカだね、ポ、だね」とのお答え。やっぱ通称は日本の作業服界では「ポッカ」でOKのようなのだ。ちょっとホッとする。
芝居の関係でニッカと近くなってからというもの、やたらニッカな人が目についてしょうがない。先日電車内で出会ったニッカな人は、坊主頭で右耳だけにピアスを6個付けていて、真っ赤なタオルを首に掛け、ニッカの色は黒。顎髭がオシャレな形に整えられていてなかなかの美形だった。同じニッカな人であっても若者はオシャレにきめているし、若者でも不良系だと「どこで売ってんの?ソレ?」ってなショッキングピンクや濃いパープルで、仕事に支障があるのではないか?と思われるほどダブダブのニッカを着用している。また、年季が入ったおじさん達はオーソドックスな形の紺系や茶系のニッカで渋~い感じを醸し出しているのだ。
街でニッカの集団に出くわすと、つい取材したくなってしまう。もちろん取材はとっくにすませているのだけど。おっ!っと思うニッカを履いていたりすると「それ、虎壱ですか?一匹狼ですか?」とブランドを尋ねたくなってしまうのだ。外で、汗して働いてる人達ってなんか、なんか、イイ!とか思ってしまう。その象徴がニッカなワケで、ドキドキするんです。見かけると。
そういえば、某有名大学を卒業した友人が中卒で鳶職の彼と、両親その他の反対を押し切ってまで結婚して1年後離婚した時、あまりにもミスマッチな2人に思えたので、「彼のどこがよくて結婚したの?」と聞いたら「作業服姿がカッコよくて……」と言ってたっけ。分かる。その気持ち。ちょっとクラクラきちゃうよね。そういう、猫にとってのまたたびみたいな魔力があるんだよねぇ、ニッカって。
寝不足になるから、と思いつつ、さっきまでBS2でやっていた野田秀樹の「赤鬼」日本バージョンとロンドンバージョンを全部観てしまった。録画してるのにさ。ばか。赤鬼は昨年渋谷のコクーンで上演された芝居で日本、タイ、ロンドンと同じ本を3つのバージョンで役者を替えて連続公演されたもの。私はタイバージョンが一番好きなんだけど日本、ロンドンバージョンもなかなか。野田さんの舞台はいつも必ずラストにカタルシスが用意されていて気持ちよく酔わされてしまう。分かっちゃいるけど毎回やられてしまうのだ。しかも、野田さんの芝居は客を選ばない。演劇初心者の友人を野田さんの芝居に誘うと必ず演劇フリークになってくれる。たとえ内容が100%理解できなくても「なんか、スゴかったね!」とか「驚いた!」とか喜んでくれる。お客さんを楽しませるってこういうコトなんだよなと体感できる舞台なのだ。
いつか私もそんな芝居を創れたら素晴らしいな、と思う。 夢ですね。